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●本書は、弊社の連続企画「本屋さんの学校」の一環として、三省堂書店神保町本店において開催された講座「学問の復権」の音声記録を文章化し加筆修正を施したものです。同講座は仲正昌樹氏を講師にむかえ、二〇〇九年上半期に三回にわたって開かれました。また、各回それぞれ、各学問領域の気鋭の若手研究者である浜野喬士氏(ドイツ哲学・環境思想史)、大澤聡氏(メディア史・日本文学)、白井聡氏(政治学・政治思想)を聞き手としてお招きし、講座の後半部で対話を展開していただきました。
目次
●第一講 〈humanitas〉の定義 仲正昌樹+浜野喬士
【「学問の復権」と書店】
《講義編》 アーレントとカントの接点/『判断力批判』の位置づけ/ヒューマニズムの多義性/〈liberty〉と〈freedom〉/〈freedom〉の本質/〈constitution〉と「自由」の関係/カントとアーレントの共通点/アーレントのルソー解釈/labor/work/action/自由七科の成立/ルネサンス期の人文主義/哲学部の独立/〈humanitas〉の二つの系譜/「人格」の「形成」/自由意志とは何か/二人の問題意識の交差
《対話編》 一八世紀の人文知とメディア/哲学における複数性の問題/古い知としての書簡メディア/人文知の成立条件/新興メディアとしての雑誌/ロマン派の「批評」概念/理性の公的使用/私的使用/田母上問題との関係/進歩・目的・歴史/神と自然/反省的判断について/普遍性と一般性/共通感覚論/『精神の生活』
●第二講 〈ecriture〉をめぐって 仲正昌樹+大澤聡
【拡散する「大学」】
《講義編》 前回の復習/「私」は本当に思考しているのか?/エクリチュール/パロール/哲学とエクリチュールの連鎖/生きた神の言葉/未知の友への手紙/〈humanitas〉の連鎖的継承/音読と思考形成/ヒューマニズム教育について/エクリチュール批判の隘路/大学の権威の失墜/オタク的コミュニケーション/知的リテラシーの低下/批判や引用の作法を実例に/最近の学生のレベルについて(1)/最近の学生のレベルについて(2)/大学教育の意味
《対話編》 日本におけるスローターダイク受容/スローターダイク『シニカル理性批判』/スローターダイク『「人間園」の規則』ジャーナリズムから大学へ/戦前の日本のジャーナリズム/アカデミズムの原義/ドイツの大学制度/ドイツと日本の比較/キリスト教の不在/いかに生きるべきか?/教養による人格形成/外国語学習の重要性/「形式」と「内容」/文芸批評と人生論/日本の文芸批評家と大学/大学教授の政治的影響力/ドイツの大学創成期/ドイツ統一運動と大学/次回の講義にむけて
●第三講 〈Marxism〉と教養 仲正昌樹+白井聡
【大学政策の現在】
《講義編》 マルクス主義的教養主義/マルクス復権ブームの是非/再び、教養とは何か?/ドイツの後発近代性/教養とハビトゥス/学問的コミュニケーション能力/マルクス主義と教養主義の結合/「星座」としての教養/マルクス主義という中心軸/教養の応用可能性/共通言語としてのマルクス主義/西ドイツの左派知識人/日本のマルクス主義の特殊事情/マルクス主義的教養主義の没落/現代思想系教養主義/基礎学力の低下
《対話編》 全共闘とマルクス主義的教養主義/「理論」と「実践」/宮台真司のフィールドワーク/アドルノとホルクハイマーの真理政治/ルカーチのインパクト/エリートという矛盾を生きること/ポストモダンの左旋回/教養的な座標軸の欠落/ステレオタイプ化された議論/現代思想と政治的コミット/空虚な左翼純粋主義/根付かなかったリベラル・アーツ/新領域制度化の弊害/処方箋の一例
●補講 〈教養主義〉の行方──「あとがき」にかえて
仲正昌樹+浜野喬士+大澤聡+白井聡
カントの反省的判断力/〈善〉と〈美〉、主観と普遍/〈共通善〉の中身/ハードなコミュニタリアンに対して/アカデミズムとアカデミー/アカデミズムとジャーナリズム/境界的な言論人/数学という共通言語/試験問題とマルクス主義/哲学部のパラドクス/技術知批判のパターン化/大学教育の現場と数字/学問的権威の凋落と出版不況/「まとめ」にかえて
仲正昌樹(なかまさまさき)1963年広島県呉市生まれ。1996年東大総合文化研究科地域文化専攻博士課程修了(学術博士)。現在金沢大学法学類教授。著書に『貨幣空間』『ポストモダンの左旋回』(共に世界書院)、『デリダの遺言—「生き生き」とした思想を語る死者へ』(双風舎)、『集中講義! 日本の現代思想』『集中講義! アメリカ現代哲学』(共にNHKブックス)など多数。
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